地球上の生命に関する不思議や、病気の原因や治療方法の開発、生命科学と人間社会の関わりなど、東京大学では多種多様な分野の研究と教育を進めています。
実行委員長からのご挨拶
今、生命科学は総力戦です。分子、細胞、個体といった単純な枠組みで論じられるのは生命科学の一部になってきました。細かいレベルで見れば、例えば光合成や細胞呼吸での電子の移動や、鳥が方向を感知できるしくみを理解するには量子力学の考えが必要になります。生物のレベルでは量子的な振る舞いを考慮するのは意味がないと考えられていましたが、そうではないようです。反対に、より大きなレベルで見れば個体の集合体として社会をどうとらえるか、生命科学が社会をいかに良いものにできるか、あるいは私たちの社会が生命科学をどう扱うかも重要な問題です。行動、意識、情報、経済、法規制、医療などさまざまなことが関連します。さらに視点を大きくすれば、ちょうど50年前の1969年に人類は初めて月に着陸したわけですが、近い将来いよいよ地球外生命体に出くわす可能性も十分にあります。もしそうなれば、地球に固有の生命科学から、より普遍的な生命科学へと大きく跳躍することになるでしょう。ですので、生命科学は総力戦なのです。広く開かれているべきであり、多くの異なった分野の研究者が知恵を出し合い議論していく必要があります。
総合大学である東京大学を探し回れば、おそらくすべての部局(学部、研究科、研究所など)に生命科学に関係する研究者がいるはずです。このすばらしい環境を生かして、東京大学には生命科学ネットワークという部局横断型の組織があります。「生命科学シンポジウム」は、このネットワークが主催するメインイベントです。今回で第19回目を数えることになります。今年は「広げよう生命科学の輪、つながろう分野を超えて」と題して、2019年(平成31年)4月20日(土)、本郷キャンパスの伊藤国際学術センターおよび小島ホールにて開催します。例年と同様ほぼ1日を使って、本学のさまざまな部局の教員による講演と、若手研究者を中心としたポスター発表を行います。専門分野を超えた話を聞くことは新しい考え方を発見するチャンスになりますし、ポスター討論は自分と同じような興味をもつ研究者を発掘するチャンスにもなるでしょう。同じ部局の中にいても、他の研究者が何をしているか知らないことも多々あります。また、シンポジウム終了後には、より気軽に話ができる懇談会(無料)も用意しています。これらの機会を通じて、学内外のみなさんと生命科学について大いに議論できればと思います。
最後になりますが、本シンポジウムに協賛して下さいます企業・団体様のご理解とご支援に心より御礼を申し上げます。
実行委員長 水島昇
東京大学 大学院医学系研究科 教授
実行委員長 水島昇 教授
東京大学大学院
医学系研究科
第19回 東京大学シンポジウム 実行委員会
実行委員長 水島 昇(東京大学 大学院医学系研究科 教授)
実行副委員長 村上 誠(東京大学 大学院医学系研究科 教授)
実行委員 新冨美雪(東京大学 生命科学ネットワーク 特任助教)
山本 林(東京大学 大学院医学系研究科 講師)
武富芳隆(東京大学 大学院医学系研究科 助教)
2019 BIO UT
ポスター(1P)
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