第12回 東京大学 生命科学シンポジウム
ご挨拶

実行委員長からのご挨拶

 “東京大学の生命科学シンポジウム”も今年で12回となり、幸いなことに初夏の全学的行事として内外に定着してきています。また、生命科学研究に関与する16の部局から、現在の新たな全学組織である“東京大学生命科学ネットワーク”が誕生して以後、4回目のシンポジウムとなります。本シンポジウムでは、東京大学の多様かつ最新の研究成果を学生や市民の方々にわかりやすく講演すると共に、ポスター発表・討論会では、バックグラウンドを異にする若手研究者の交流と共同研究への発展を提供することを目的としています。また、各部局の紹介ブースも設置し、学部学生の進路選択の情報を提供します。今回は特に、ポスター発表・討論会を重視する意味で昼に行い、講演を午前と午後の部の2つに分けました。また、懇親会においては、特別講演会「放射能とヒト、大地、海」を行うこととしました。シンポ全体を通して多数の方々のご参加を期待しております。
 さて、“21世紀は生命科学の時代”という言葉通り、今世紀はヒト全塩基配列の解読という華々しい成果でスタートしました。その後も、人体を構成する様々な分子の網羅的解析やイメージング技術は、インフォーマティックス技術と共に長足の進歩を遂げつつあります。また、iPS細胞の樹立は、細胞の運命を人為的に制御できることを示しました。しかし一方で、それらの成果が例えば人類の福祉にフルに活用されているでしょうか?
 現状は、人類は量的にも質的にも未だかつてない多量の情報を得ながらも、その情報の持つ意味を未だほんの部分的にしか解明できておらず、従って効果的な利用方法にもなかなかたどり着けない、といった状況のように思えます。つまり、我々に突き付けられているのは、“人類の生命に関する理解は圧倒的に不十分である”という事実です。ヒトを対象とした理解でさえこの状況ですので、より多様な生物が複雑に相互作用しあっている生態系についてはより一層の困難があるでしょう。
 さて、この状況を乗り越えるためには、目的指向型の融合研究に加えて、大学における息の長い多様な基礎研究が実は重要な役割を演じるのではないかと考えます。しかし、従来の学問背景や考え方のみに基づくアプローチに加えて、新たな解析技術を駆使することはもちろんのこと、例えば数理系などの異なる学問体系との融合は必須となることでしょう。本シンポジウムのように、分野を超えた若い研究者の自発的な交流の継続は、状況を打破するために有効であると考えています。広い分野の最新知見に関する講演もさることながら、ポスター発表・討論会をそのための場としてぜひ積極的に捉えていただけましたら幸甚に存じます。
 なお、本シンポジウムの実施に当たっては、長澤寛道・生命科学ネットワーク長、各部局の運営委員・幹事の方々、各部局のポスター審査委員の方々など、学内の生命科学関連の多くの方々、それに今回は実に多くの企業から様々なサポートをいただきました。実行委員会を代表いたしまして深くお礼申し上げます。

実行委員長 酒井 康行

実行委員長 酒井康行

実行委員長 酒井康行

第12回 東京大学シンポジウム 実行委員会

実行委員長 酒井康行 東京大学生産技術研究所
副実行委員長 児玉龍彦 東京大学先端科学技術研究センター
実行委員 和田洋一郎 東京大学先端科学技術研究センター
  辻 真吾 東京大学先端科学技術研究センター
  酒井麻衣 東京大学生命科学ネットワーク
  小森喜久夫 東京大学生産技術研究所
  小林徹也 東京大学生産技術研究所
  小島伸彦 東京大学生産技術研究所
  大澤 毅 東京大学先端科学技術研究センター
  三井健一 東京大学先端科学技術研究センター
  土居リナ 東京大学先端科学技術研究センター
  山本尚子 東京大学生産技術研究所
  小林美佳 東京大学先端科学技術研究センター

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